和装での結婚式に、白無垢や色打掛をイメージする方は多いでしょう。では、振袖は花嫁衣裳として着てはいけないのでしょうか。
「母から受け継いだ振袖を着たい」
「成人式に着た振袖を結婚式でも着たい」
「振袖を着たら家族が喜ぶと思う」
このような思いがあり、結婚式の衣裳に自分の振袖を選ぶ方もいます。振袖は白無垢や色打掛と同じく第一礼装に含まれるので、花嫁が着てもおかしくありません。
ただし、振袖はゲストが着ることもできるので、花嫁姿が引き立つように婚礼衣裳らしい華やかさを考えることが大切です。
そこで今回は、花嫁が結婚式で振袖を着るメリットデメリットや、婚礼衣裳としての着方について解説していきます。
振袖があり、結婚式で着られるか気になっている方は、ぜひ最後までお読みくださいね。
結婚式で成人式の振袖を着るメリット
結婚式において「振袖は未婚の女性ゲストが着るもの」と思っている方も多いでしょう。振袖は白無垢や色打掛と同じく第一礼装とされているので、格式的には花嫁衣裳として着ても問題ありません。
まずは、花嫁が結婚式で成人式の振袖を着るメリットを3つ紹介していきます。
最後の機会に着ることができる
結婚式は振袖を身にまとうことができる、最後の機会です。
「今日を境に、振袖を着られなくなる」という一抹の寂しさと、「独身ではなくなり、結婚して夫婦になる」という喜び。
あえて振袖を着ることで、ほかの婚礼衣裳では味わえない感慨深さを感じることができます。
思い出としても、深く刻まれることでしょう。
親が喜ぶ
母親や祖母から受け継いだり、成人式用に買ってもらったりした振袖は、家族の思いがたくさん詰まったもの。
花嫁衣裳に振袖を着ることで、成長した姿を見せることができて、親御様も喜んでくれるでしょう。
お色直しに、サプライズで登場するのもおすすめです。
振袖姿で手紙や記念品を渡せば、家族への感謝の気持ちも伝わり、立派な親孝行になるでしょう。
身動きしやすい
白無垢や色打掛の難点は、ボリュームがあり重いこと。その点、振袖は婚礼衣裳より軽く、裾や袖をひきずらないため、身動きしやすいのがメリットです。
介添えナシで動けるので、自由に席を行き来できます。
披露宴で和装を着たいけれど、ゲストとの交流や写真撮影も楽しみたいという方は、振袖がおすすめです。
結婚式で成人式の振袖を着るデメリット
次に、花嫁が結婚式で成人式の振袖を着るデメリットを2つ紹介します。
振袖のゲストに埋もれる
振袖は未婚の女性が着る正装なので、ゲストも着ることができます。振袖のゲストが何人かいた場合、花嫁が引き立たずに埋もれてしまう可能性もあるでしょう。
ただし、白や赤、黒の振袖は、次の理由からゲストが避けるため被りにくいです。
- 白:花嫁のみが着る色
- 赤:色打掛で人気の色
- 黒:ゲストが結婚式に着る振袖としては色が暗い
婚礼衣裳に比べて華やかさがない
白無垢や色打掛は、綿が入っているためボリュームがあります。また、豪華な刺繍が施されていて華やかです。
一方で、振袖は帯を締めて着るのでボリューム感がなく、婚礼衣裳ほど刺繍も豪華ではないので華やかさに欠けてしまいます。
髪飾りに生花を使い、帯も豪華な刺繍と派手な結び方にして、華やかさを演出するのがおすすめです。
披露宴で振袖を着るときのポイント
披露宴で振袖をそのまま着てもいいですが、ここで紹介するポイントを押さえることで、花嫁衣裳として振袖が引き立ちますよ。
なぜ振袖を着るのか紹介する
振袖姿で入場したときに、なぜ婚礼衣裳に振袖を選んだのかを、司会者から紹介してもらいましょう。
理由が伝われば、花嫁の振袖姿にストーリーが浮かび上がり、特別なものという思いが振袖を引き立ててくれます。
成人式で振袖を着た写真をプロフィールムービーに加えれば、大切な着物だとゲストにより一層伝わるでしょう。
花嫁の手紙を読むときに、振袖にまつわる話を添えてもいいですね。
引き振袖にリメイクする方法もある
振袖には、着丈がちょうどよくなるように腰で生地をたくし上げている「おはしょり」という部分があります。
おはしょりを伸ばせば、裾が長くなるので引き振袖にすることが可能です。
また、裾や袖口に綿を入れたり、比翼と呼ばれる白い布を付けたりすれば、自分だけのオリジナルな婚礼衣裳ができますよ。
ただし、リメイクには時間がかかるのと専門技術が必要なので、早めに検討しましょう。
着物ドレスとして着る方法もある
意外性を狙うなら、振袖をドレスとして着るのもおすすめです。
振袖をそのままドレス風に着付ける方法で、オリエンタル和装とも呼ばれます。
生地にハサミを入れることなく、着付けの技術だけでできるので、リメイクはちょっとという方にもおすすめです。
ドレスやパニエと組み合わせて着ると、さらに華やかになりますよ。
オリエンタル和装にする場合、新郎はタキシードのままのケースも多いです。
前撮りで着るのもおすすめ
結婚式の衣裳を振袖にするかどうか迷っている方は、前撮りで振袖を選ぶのもよいでしょう。
前撮りであれば、周りの風景や小物を使って華やかに演出することも可能です。
親も撮影に呼び、一緒に家族写真を撮ることで、なによりのプレゼントになるでしょう。
ウェルカムボードにして受付に飾ったり席次表のプロフィールの写真に使ったりすれば、結婚式のゲストへのお披露目もできますよ。
和装の婚礼衣裳
最後に、和装の婚礼衣裳にはどういったものがあるかも、紹介しておきます。
振袖との違いも踏まえて、自分にふさわしい、自分が着たい花嫁衣裳を選びましょう。
白無垢
白無垢は、婚礼衣裳の中で最も格式が高いとされる和装です。
白一色の着物は花嫁の純粋無垢さを象徴し、厳かな神社での神前式によく似合います。
髪型は綿帽子や角隠しが一般的ですが、最近では洋髪のおしゃれな花嫁も多いです。
振袖は着物を引きずらずに帯で締めて着ますが、白無垢は白の打掛を羽織って帯を隠し、裾を床に流して着ます。
また、筥迫、懐剣、末広などを身につけるのも、婚礼衣裳ならではです。
色打掛
色打掛は白無垢と同じく格式が高い婚礼衣裳で、鮮やかな色の織りや刺しゅうが全体に施されています。
伝統を感じるのは赤や黒ですが、紫やピンク、緑、紺など、最近はカラーバリエーションが豊富です。
また、打掛の柄には新しい人生のスタートにふさわしく、長寿や繁栄などを意味する吉祥文様が使われています。
白無垢と色打掛どちらも、裾や袖口にふき綿を入れているため重厚感があり、流れるラインが美しく際立つのも特徴です。
黒引き振袖
黒引き振袖とは、長い裾を引いて歩く引き振袖の中でも、黒色の婚礼衣裳のこと。
黒は和装の中で格式の高い色とされ、見た目がスタイリッシュなことからも、大人っぽい雰囲気にしたい方に人気です。
振袖と同じく帯を見せる着方ですが、長く伸ばした裾にはふき綿が入っていて、振袖よりも華やかさを感じられます。
また、裾を引きずっていても打掛を羽織らないので、すっきりしたシルエットで動きやすいのも特徴です。
まとめ:お色直しで振袖を着てもOK
和装の婚礼衣裳には白無垢や色打掛、黒引き振袖がありますが、振袖も第一礼装なので花嫁が着ても問題ありません。
ただし、婚礼衣裳と比べると華やかさに欠け、振袖を着たゲストに紛れてしまうこともあります。
婚礼衣裳として振袖を着るときは、ヘアスタイルや髪飾り、帯や小物などで華やかに装うことがポイントです。
また、引き振袖へのリメイクやオリエンタル和装など、工夫することで婚礼衣裳らしくなります。
花嫁らしい振袖の装いで、素敵な結婚式にしましょう。