誓いのキスといえば、結婚式のなかでも特に盛り上がるシーンのひとつといっても過言ではないかも知れません。チャペルの祭壇で愛を誓った2人がキスをする姿は、神秘的で写真にも撮っても映えますよね。
ただ、盛り上がるシーンだからこそ、当日キスをする新郎新婦にとっては、緊張の一瞬ともいえます。
「どうすれば誓いのキスを失敗しないですむ?」
「キスのときに手の位置が定まらない」
「写真映りよく誓いのキスをするには?」
一生に一度の大切な結婚式のキスシーンですから、写真にも素敵な姿で残したいですよね。本記事ではこういったお悩みを元ウエディングプランナーが解決していきます。
人前でキスをすること自体慣れている人は少ないでしょうし、親族や友人が見ている前でなんてさらに緊張してしまうかも。
当日緊張してパニックになってしまうことがないように、どうすれば映えるキスシーンになるのかをしっかり確認し、練習しておくことがポイントです。
本記事を参考に写真映えする誓いのキスを習得しましょう。
誓いのキスを行う意味って?
誓いのキスは、チャペルで行う教会式の進行には必ず入っています。人前式も、教会式の流れをベースに組み立てることが多く、誓いのキスが進行に入っていることが多いです。
結婚式の演出にはそれぞれ意味があり、誓いのキスにももちろん意味が存在します。把握していない人も多いかも知れません。
しかし意味を知ることでより大切な時間として誓いのキスを捉えられるようになるので、ぜひ新郎新婦で共有しておくのがおすすめです。
誓いのキスは封じ込めの意味がある
誓いのキスには、結婚の誓いの言葉を封じ込め、永遠のものにするという意味があります。そのため、誓いの言葉の後にキスをしないと意味がなくなってしまうのです。
【基本の流れ】
- 誓いの言葉
- ベールアップ
- 誓いのキス
そんな大切な儀式のシーンをより美しく写真に残しておきたいと感じるのも頷けるのではないでしょうか。
ゲストにとってもシャッターチャンス
誓いのキスは、ザ・結婚式のワンシーンともいえる場面のため、ゲストにとっても絶好のシャッターチャンスです。
ゲストにとって新郎新婦の結婚を一番強く認識するシーンと言っても過言ではありません。
ゲストのために行うとまで気負う必要はありませんが、重要なシーンなのです。
そんなシーンで、納得のいかない写真が残ってしまうのは避けたいところではないでしょうか。
キスを見られたり、写真を撮られるのは恥ずかしいと感じるかもしれませんが、完璧な写真写りを意識して乗り越えるのがおすすめですよ。
写真映えのコツ:新婦様編
それでは、実際にどのような部分を意識すれば写真映えができるのかを解説していきます。
最高に美しいワンシーンを仕上げられるように、当日自分がどのように動くのかをしっかりイメージしながら確認してみてくださいね。
1.手の位置にこだわる
キスシーンでとても重要になるのが、キスをしている最中の手の位置です。一本一本の指の先まで、意識をめぐらせましょう。
実際に立った状態でキスをしてみると、どこに手を置くべきなのか迷ってしまい、不自然に手がさまよったなんて失敗もあるかもしれません。
手の位置は事前にしっかり、ここに置こう、と決めて意識しておくのがいいでしょう。
Instagramなどで実際の花嫁様の写真を確認して、理想のポーズのイメージを固めて置くとわかりやすいですよ。
以下3つ具体例を紹介します。
- お腹の前
- 新郎の肩
- 手を繋ぐ
▼お腹の前
誓いのキスでお腹の前に手を置くと、新郎からの愛を受け入れているように見えます。
位置は、おへその下辺りで、左手が上に来るようにそっと重ねておくのがいいでしょう。
二の腕が気になるという方や、腕が露出するタイプのデザインのドレスでも、腕に視線がいきにくく、あまり気にならないのがうれしいですね。
▼新郎の肩
新郎との密着度が上がり、より親密に見えやすい手の位置です。
新郎からのキスを受け入れているだけでなく、お互いが対等な関係であるということのアピールにもなりますね。
▼手を繋ぐ
仲の良さが垣間見える、とても可愛らしいポーズです。
手を繋いでいることで永遠の繋がりをアピールしているという、ロマンチックな意味合いもありますよ。
2.キスは3秒以上行う
誓いのキスの時間は長すぎず短すぎずを意識しておくのがポイントです。3秒~5秒はキスしたままの状態をキープしましょう。
短すぎると、カメラマンやゲストが写真を撮るための時間がなくなってしまいます。
逆に長過ぎると、周囲が照れてしまって、照れ笑いが聞こえてきてしまう、なんてこともあるかもしれません。
ただ、緊張していると時間が経つのが長く感じてしまいすぐに話してしまう新郎新婦もいます。本番は慌てやすいので、練習の時からゆっくり3秒~5秒、長めに数えるクセをつけましょう。
また、周りが気になるからと、途中で目を開くのもナシです。キスシーンは目を閉じていた方がきれいに見えるので、しっかりまぶたを閉じて、たくさん写真を撮ってもらいましょう。
3.身長差があるときのかがみ方
身長差がある夫婦の場合は、かがみ方にもポイントがあります。考えなしにかがんでしまうと後から見返した時に不格好に見えることも。
新郎様の方が背が高い場合、新郎様から近づくイメージでキスをします。新婦様は上を向きすぎないように注意しましょう。
新婦様の方が背が高い場合、新婦様が少しかがむイメージでキスをします。ドレスの中はゲストから見えませんから、足を前後に開いてかがむのが負担も少ないでしょう。
4.フェイス・ボディケアも万全にする
結婚式に向けてコンディションを整えることも一番大切です。結婚式の写真を見て、後から悔やむことのないように、顔やボディも万全なケアをしておきましょう。
寝不足はお肌のコンディションにもメンタルにも影響が出やすく、花嫁の敵。なるべく式の前日から、体と心を整えるために、ゆっくりと過ごすことを心がけたいですね。
誓いのキスでは、横顔や横からの立ち姿を見られます。横顔のあごのラインや二の腕のケア、姿勢のいい立ち姿にも気を配ることで、写真映えがかなり変わりますよ。
顔のケアは、小顔エステや当日むくまないような対策をしておくと、綺麗な横顔をキープできるでしょう。
二の腕が露出したデザインのドレスの場合、横を向くと二の腕がどうしても目立ちます。ブライダルエステでは、特に目立つ二の腕や鎖骨、背中を重点的にケアするのもおすすめです。
姿勢が気になる方は、エステや整体などで、姿勢矯正をしてもらうのもいいでしょう。自分磨きは、妥協せずに納得できるまで行うことで、どのシーンも満足いく写真を残せますよ。
写真映えのコツ:新郎様編
誓いのキスは、基本的に新郎がエスコートをして行ってください。
動画撮影などを入れている場合は、写真だけでなく一連の流れが映像として残ります。
スマートにエスコートができるよう、しっかり手順やポイントを確認しておくことが大切です。
1.キスの前にしっかり近づく
誓いのキスを違和感なく行うためには、新郎様が新婦様にしっかり近づくことが大切です。2人の体が離れている状態ではキスがやりづらく、ロボットのように腕が伸びていたり、唇だけ突き出すかたちになったりと写真写りも悪くなってしまいます。
特にドレスがボリューミーな場合はドレスと床の隙間に新郎が足を入れて、ぐっと体を近づけるのがポイントです。ドレスの下にすり足で踏み入れることで、新婦にしっかり近づくことができます。
ドレスによる制限など当日にしか分からない部分もあるため、しっかりとリハーサルしておくことが重要ですよ。
2.ベールアップは最後まで行う
マリアベール以外の場合、誓いのキスは新婦のベールを上げることから始まります。ベールアップは一見簡単そうに見えますが、実はしっかり手順を守って行うことが大切です。
新婦はベールを上げたあとも、挙式の間は後ろにベールを付けたままの状態で過ごします。
気をつけるべきポイントを守らないと、見た目が良くなかったり、シワになってしまったりということもあるので注意しましょうね。
【ベールアップのやり方】
- 1歩踏み出して新婦にしっかりと近づく
- 新婦はベールを上げやすいように、少し屈む
- ベールの内側に親指引っ掛けるようにしてそっと持ち上げる
- ベールを新婦の向こう側へゆっくりと下ろす
- シワを伸ばすように少し広げるようにして、ゆっくり手を離す
【ベールアップの注意点】
- ベールは最後までしっかりと下ろす
- 丁寧にベールを整える
- ベールはふんわり持って引っ張らない
- 屈むときには腰を落とす感じにする
ウエディングベールは、花嫁を悪いものから守る壁であり、二人の間にある障壁を意味します。ベールアップは、二人の間の壁を取り除き、これからは花婿が花嫁を守っていくという決意を表す、大切なセレモニーです。
次のキスに気を取られて慌てることのないよう、ベールアップはゆっくり丁寧に行ないましょう。
3.手の位置にこだわる
新婦の手の位置と合わせて、事前に打ち合わせをしておくことが大切です。手の置く位置によって印象がぐっとかわるので、自分たちの理想のイメージで決めるのもいいですね。
- 新婦の肩
- 新婦の腰
- 手を繋ぐ
▼新婦の肩
新婦がお腹の前に手を置いている場合、新郎の手の位置は新婦の肩が定番です。
愛を受け入れる姿勢の新婦に対して、新郎がリードしていくという、男らしさをアピールできますね。
▼新婦の腰
新婦が肩に手を置く場合は、新郎は新婦の腰に手を回すのが自然な雰囲気でおすすめです。
腰に手を回すことで密着度も高くなるので、ぐっと近づいてキスができますよ。
▼手を繋ぐ
手を繋ぐ場合は、恋人つなぎなど、つなぎ方も事前に相談しておくのがいいでしょう。
普段からよく手をつなぐカップルであれば、いつものつなぎ方がリラックスできるかもしれませんね。
手は繋がずに重ねるだけでも充分ロマンチックな雰囲気を演出できますよ。
4.頭は祭壇側へ傾ける
キスをする際、新郎の頭は祭壇側へ傾けるのが一般的です。そうすることで新婦の横顔がゲスト側から美しく見え、写真映えもばっちり。
覚えておきたいことがたくさんあり、忘れてしまいがちなポイントですが、リハーサルなどでしっかりと確認しておきましょうね。
誓いのキスを成功させるためのポイント
ここまで、誓いのキスの手の位置やポイントなどをご紹介してきましたが、いちばん大切なことはなるべくリラックスしてその瞬間を迎えることです。
結婚式が始まってしまえば、もう最後までやりきるしかありません。
せっかくの時間を最高の思い出にするために、お互いに声を掛け合って、リラックスできる雰囲気作りを意識してみませんか。
どうしてもキレイに撮りたいという方や、万が一の失敗が怖いという方は、別撮りという方法を検討してみるのもいいかもしれません。
リハーサルはしっかりと行う
結婚式の事前準備で一番大事なのが、本番を想定したシミュレーションとリハーサルを行っておくことです。結婚式では、慣れない格好と環境で、ついこわばった動きになってしまいます。
リハーサルでは、本番に望むつもりで、真剣に動きを確認しておくことが大切です。特に、ボリュームのあるドレスだと、新郎が新婦に近づききれずに、離れた場所からムリな体勢でキスをすることも。
事前にシミュレーションした上でリハーサルを重ねておけば、ひとつひとつの動きや距離の詰め方をマスターでき、多少たどたどしくても大きく失敗することはないでしょう。
きれいに見えるしぐさや角度も勉強し、ふたりで練習しておけば、美しいキスシーンを演出できますよ。この記事で身に付けた知識も、まずはリハーサルで完璧に練習しておきましょう。
恥ずかしく感じてしまう方もいるかもしれませんが、モデルになったつもりで思いっきりやり切ることがポイントです。
進行スケジュールを頭に入れておく
ひとつひとつの動きも大切ですが、全体の進行スケジュールを頭に入れておくことも、結婚式を成功させるためのポイントです。結婚式の流れを理解していないと、スムーズに次の動作に移れずに、ぎくしゃくした動きになってしまいます。
おかしな間を作ってしまったり、不安げな表情をしてしまったりでは、結婚式のロマンティックな雰囲気が壊れてしまうでしょう。特に、誓いのキスは、結婚式のクライマックスになる大切なシーンです。
誓いのキスまでは、雰囲気が壊れずにスムーズに進行できるよう、自分が次に何をしたらいいのか把握しておきましょう。いつ次のプログラムに移るのかも把握しておくと安心です。
当日はとにかく楽しむ
全くトラブルのない結婚式はあまりありません。トラブルはつきものだ、ということを心にとめておき、何かあっても気にしすぎないようにしましょう。
式場のスタッフは全員結婚式のプロです。困ったことがあったら助けてもらえる、という気持ちで、結婚式を楽しむことに集中しましょう。
ロマンチックに誓いのキスを演出する方法
最後に、誓いのキスをもっとロマンティックに演出する方法を、紹介していきます。シンプルなキスシーンも感動しますが、見栄えのする演出を取り入れることで、うっとりするような素敵なキスシーンの写真が残せるでしょう。
フェザーシャワー
フェザーシャワーは、キスの瞬間に合わせて、ふたりの上から羽が降り注ぐ演出です。真っ白で清らかな羽が、おふたりを祝福するようにゆっくりと舞う様子はとても幻想的で、最高にロマンティックな瞬間を演出してくれます。
屋外での人前式には、シャボン玉シャワーやバルーンリリースもおすすめです。おふたりのキスに合わせて舞うシャボン玉や、空へと吸い込まれていくバルーンが、結婚式のクライマックスであるキスシーンを最高潮に盛り上げてくれるでしょう。
ベールの中でキスを隠す
ふたりだけの秘密の空間を演出できる、ベールの中でのキスも最高にロマンティックです。ベールによって多少はゲストの目を遮ることができるので、人前でのキスが恥ずかしい方にも嬉しい方法ではないでしょうか。
ただし、教会式ではベールアップをすることに意味があるので、ベールの中でのキスができないこともあります。式場に可能か確認したり、人前式で取り入れたりするといいでしょう。
手の甲へキス
新婦様の手の甲へキスをするのも、まるでおとぎ話のプリンセスになったみたいで、ロマンティックな気持ちになれるでしょう。指輪の交換ではめた結婚指輪のある薬指に、キスをするのも素敵です。
新郎様は立ったままで新婦様の手にキスをするのもいいですが、プリンスのように片膝をついて新婦様を見上げ、手を取ってキスをすれば、もっとロマンティックなワンシーンになりますよ。
手の甲へのキスには「尊敬」「敬愛」といった意味があり、新郎様から新婦様への深い愛が、写真からもしっかり伝わってくることでしょう。
和装で誓いのキスもおすすめ
和装人前式などで、誓いのキスの演出を取り入れるのもおすすめです。和装も誓いのキスも行いたい方はぜひ取り入れてみてください。
厳格な和装のイメージと神聖な誓いのキスの相性は意外と悪くありません。
誓いのキスでキス以外の演出も映える
海外とは異なり、日本では人前でキスをする習慣がありません。そのため、「恥ずかしいのに、なぜ誓いのキスをするの?」と、疑問に思う新郎新婦もいるでしょう。
誓いのキスには交わした誓いを封じ込める意味があり、誓いを紡いだ唇にキスをすることで、言葉を封じ込めることができるとされています。
唇へのキスは愛情を示す意味もあるため、夫婦の誓いとして唇にキスをするのが、一般的になっているのでしょう。
しかし誓いのキスは絶対に唇でなければいけないという決まりがあるわけではありません。唇以外の場所にキスをするという選択肢もあります。
写真写りを優先したい場合は、2人が納得できる演出を考えてみるのも面白いですね。
定番のキスではないからこそ、ゲストへのサプライズにもなり、自分たちらしいオリジナリティも出せますよ。
唇以外のキスでもOK
「恥ずかしいから」「緊張で失敗しそうだから」と理由はいろいろですが、唇以外へのキスでも、十分ロマンティックなシーンになりますよ。キスをどこにするかは、ふたりで相談して決めるといいでしょう。
- ほっぺ
- おでこ
- ハグ
- 手合わせ
- 握手
- 子どものほっぺにキス
まだまだ選択肢はありますが、お二人らしさが出せる方法を選んでみてください。唇以外の場所で人気があるのは、おでこ・頬へのキスです。
おでこへのキスは、特に身長差のあるカップルにおすすめ。どちらの顔も隠れることがなく、写真映えもバッチリです。
頬へキスをすると、新婦の横顔がより美しくゲストに見せられます。ゲストの前で唇にキスをするのが恥ずかしい、という方にも受け入れやすく、可愛らしい印象になりますね。
誓いのキスに代わる演出とは
ゲストの前でキスをするのは恥ずかしい、そう思う花嫁様も一定数います。
教会式で誓いのキスをなくすのは難しいですが、人前式であれば自由にアレンジ可能です。
誓いのキスがなくても挙式はできますので、安心してください。
以下のアイデアや関連記事も参考に、お二人らしい挙式を作り上げましょう。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6568/
▼クロージングキス
クロージングキスとは、退場の際、チャペルの扉が閉じるのと同じタイミングでキスをする演出です。
会場によっては、逆光のようになり、ゲスト側からはシルエットだけが見えるというフォトジェニックなシーンになる場合もあります。
キスはしてみたいけど長時間の視線には耐えられない、という方におすすめです。
締まりかけた扉が幸せな物語の幕引きを表すようなワンシーンになりますよ。
▼エンゲージカバーセレモニー
結婚式で誓った愛に蓋をする、という意味で、結婚指輪の上に重ねて婚約指輪をつける儀式です。
婚約指輪をゲストにお披露目する機会がほしいという方にもおすすめですよ。
まとめ:誓いのキスは手の位置にもこだわろう
誓いのキスをする際の手の位置や秒数、ベールアップの手順など事前にしっかり学んでおけば、誓いのキスは完璧な美しいシーンとして記憶に残せます。
高揚感や緊張が高まる本番のなかで、これはどうするんだっけ? と迷うことがないよう、新郎新婦でしっかり内容を打ち合わせておきましょう。
誓いのキスは、結婚式の見せ場のひとつといえるほど、フォトジェニックな場面です。しかし、手順ばかりに気を取られて楽しそうではなかったり、硬い表情になってしまうのは避けたいですよね。
ロマンティックなキスシーンにするには、リハーサルなどの事前準備や、写真映えするコツを心得ておくことが大切です。
本番はなるべく楽しむことだけを意識して、一生に一度しかない、誓いのキスという貴重な時間を満喫しましょう。この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ予行練習してみてください。