ブライダルフェアでは見積書の値引き交渉が当たり前です。ですが、値引きなんて頼んだことがない、という方がほとんどではないでしょうか。ましてや、何百万円という金額が動く場です。
本記事では元プランナーが、値引きをスムーズに行うワザを紹介しています。実際に値引いたことも断ったこともあるので、参考になれば幸いです。
さっそく本記事を参考にしながら、パートナーと商談の作戦を立ててみてください。スムーズに話が進むことを祈っています。
フェア参加前にすること
結婚式は人生の一大イベントですから、事前の準備も念入りに行うと後悔が少ないです。フェアに備えて必要な情報を揃えておきましょう。
●結婚式のイメージを具体的にする
まず大切なのはイメージを膨らませて、どんなウエディングがしたいのか希望を形にすることです。
フェアを開催している会場の中には、何も決まっていなくてもOKというところもあります。もちろん決まっていなければ一緒に考えるのがプランナーです。ただ、何も決まっていない場合のリスクとして以下が挙げられます。
- 気持ちが舞い上がって不必要なオプションを付ける
- 人数のカウントが甘く、後々予算オーバーになる
- 見積もりが上がる方向に持っていかれる
- 他の会場で開催するビジョンが見えにくくなる
結婚式も商売ですから、話を盛り上げて予算のかかるウエディングを作ろうと必死です。何も決まっていないカップルというのは白いキャンバスと同じなので、会場に都合のいいウエディングを描かれてしまいます。
まずはとりとめのない、夢や憧れの話からでいいのでパートナーと式について話をしてください。どの会場のフェアに参加するかの判断基準にもなるでしょう。
●フェア参加前に決めること
どんなウエディングがしたいか具体的になったら、次は数字の部分を具体的にしていきます。ゲスト人数と予算を明確にしましょう。
ゲスト人数は誤差5人~10人までの正確性があるとなおよいです。変に多く見積もったり少なく見積もったりすることはおすすめできません。人数によって受けられる特典が変わったりするので、後々自分の首を絞めることになります。
予算についても約300万円という曖昧な認識では上手くいきません。290万円に値引きできるところも310万円のままにされてしまいます。
予算の決め方についても、高くしたり低くしたりすると自分の首を絞める結果を招くでしょう。現実的な予算感を持ってください。
加えて注意したいのが、見積もりに含まれない諸費用がウエディングではかかるという点です。DIYの材料費や、当日渡すお車代などは見積もりに入っていませんがウエディングの費用としてかかります。これらの支出を想定して予算を算出してください。
予算よりもうんと低い見積額で開催できることが最善のような気もしてしまいますが、そんなことはありません。当たり前ですが、価格が下がればその分サービス内容が減っています。
開催できる最大限のパワーでウエディング行うことが、お二人にとってもゲストにとっても最善の道です。
●フェア参加方法について
いざ式場を探すという時、ほとんどの方が式場紹介サイトを利用します。ウエディングフェアの参加についても式場紹介サイト経由で申し込みをする方が多いです。
式場紹介サイトでは、参加したフェア数に応じて電子マネーや商品券を用意するなど様々なキャンペーンが行われます。事前の申し込みや達成条件をよく確認して、ウエディングの費用に充てていきましょう。
また、公式HPから参加する方法もあります。よくベストレート保証や公式HPが最安と銘打っていますが、必ずしもそうとは限りません。
例えば、式場紹介サイト経由のカップルから公式HP経由と同等の割引にしてくれたら契約すると持ち掛けられれば、会場は機会を失うより多少の利益を削る判断をするでしょう。
そもそもウエディングは定価があるサービスではありませんから、どこを経由して申し込みしていようが、お二人が納得できる見積額かどうかが重要です。
ベストレートという言葉に惑わされず、サイト経由で申し込みすることをおすすめします。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/
URL: https://hana-yume.net/
●フェア参加数について
フェアの参加数は平均2回と言われていますが、体感的には3回が多いです。
もし見積額を比較して一番安い会場で契約しようと考えているのであれば、見積もりの内容は同じにして作成しないと意味がありません。
また、本命の会場は最後にとっておくと目が肥えた頃に改めてチェックができます。ただこの方法の欠点は最初の会場で、ほぼ完成形の見積書を作成しなければならないことです。
後から見積もりが上がってもいいから比較したいのであれば、神経質になる必要はありません。しかし最終的にかかる総額で比較したいのであれば、初めから希望を反映した見積書を作成してもらう必要があります。
●格安結婚式という手も
こだわりが強くなく、とにかく価格を抑えたウエディングにしたいという方には格安結婚式のサービスがおすすめです。
格安結婚式はプロデュース会社が提供するサービスであり、式場探しからプランナーが手伝ってくれます。
会場と業者間での余計なコストをカットすることで安さを実現させたサービスです。衣裳の持込料がかからず、好きな衣裳を持ち込めるのも嬉しいポイントでしょう。
時間がなく、こだわりが強くない方におすすめのサービスです。
交渉時の作戦の立て方
どんな手札を持っていて、どういう使い方をすればいいのか事前に軽く作戦を立てておくと当日もスムーズに進みます。
ウエディングの見積もりは最終的に100万円上がるのが普通です。後から必要だと思ってオプションを追加しているとそうなります。
契約後に大きな値引きの相談はできません。いかに初めから必要なものを揃えた見積書で値引き相談できるかが肝心なのです。
●ゴールの設定
まずはゴールを明確にします。予算はいくらで、譲れないポイントは何か具体的にしましょう。
何ができれば理想のウエディングだと言えるのか、これがはっきりしていると捨てる項目も見えてきます。
●手札の確認
交渉カードは多いに越したことはありません。強いカードは最後にとっておいて、弱いカードから使っていきましょう。
- 日時の変更
- 挙式方法、挙式場所の変更
- 他会場との比較
- 条件付きで特別対応
- オプションと引き換えに値引き
- 「今日ここで契約します」
どんなウエディングにしたいかでも手札は変わりますが、大体上記の方法が交渉のコマとして使えます。
一番強力なのがその場で契約することです。あと一歩で目標予算というときに、最後の手段として使います。
『【結婚式の節約術】 費用削減で理想のウエディングへ!』でも解説しましたが、お日柄や挙式スタイルによって費用は上下するものです。
まずは内容の変更で値下げができないか相談してみましょう。ゴールにしている予算を伝えながら、「○○に変更すれば値下げ、というのは可能でしょうか」と直球に聞いて大丈夫です。
他にも比較している会場があって、すでに見積もりがある場合はそれを渡して同じ内容で見積書を作成してもらいましょう。
その他の手札については次の項目の話し方の例文を参考にしてみてください。
プランナーの心を動かす話し方
商談はプランナーの心を掴めば勝ち、というのが経験則です。このお二人のウエディングを応援したいと思わせることが第一歩になります。
煌びやかな雰囲気でも商談に変わりはありません。お互いがwin-winな関係を築くヒントを例文とともに紹介していきます。
●ここで結婚式がしたいという意思
大前提として値引きの駆け引きを行うのは、第一希望の会場だけにしましょう。ここでウエディングがしたいという想いがないと、最強のカードが使えません。
そしてプランナーも一人の人間です。信頼関係を築けないと値引きはおろかその後のやりとりにも悪影響を及ぼします。丁寧な接し方も話し合いをスムーズにする手段の1つです。
●例文1. 条件付きで特別対応
会場側が利益を担保できるような条件を設けることで値引きを狙うという手法になります。
●例文2. オプションと引き換えに値引き
追加オプションを付けることで値引きしてもらいやすくなるでしょう。
・プロフィールムービーをそちらに発注するので、プロジェクター使用料を無料にしていただくことは難しいでしょうか。
コツとしては、用意が面倒でないオプションを追加することです。また、サービスしてもらう内容も会場側に損が少ないものにすると上手くいきやすいです。
●例文3. 「今日ここで契約します」
プランナーが一番頑張りを見せるのは、もう少しで契約が取れる時でしょう。手を尽くし切っても予算に届かないとき、その場で契約することと引き換えに値下げを切り出します。
私たちとしては、結婚式はこの会場しかないと運命を感じており、どうしてもこちらで開催したい所存です。
私たちの経済状況では〇円が結婚式にかけられる最高金額です。
予算の〇円までお値下げしていただけましたら、今日この場で契約いたします。
ご検討いただけませんでしょうか。
この場で契約する、というのは会場にとって強い魅力です。プランナーは上司へ相談を入れますが、契約が取れそうだと分かれば許可も下りやすくなります。
交渉の失敗例
実はウエディング業界はクレームの多い業界です。大金を積んで一生に一度のパーティーをするのですから、気になることもたくさん出てきます。
そのため会場側もトラブルを起こしそうなカップルについては相手をしません。“トラブルを起こしそう”には過剰な値下げ要求も含まれます。
実際にあったサービスの提供をお断りしたケースを以下紹介しますので、くれぐれもクレーマー予備軍にならないように気を付けてください。
●値下げわんこそばのカップル
予算額をはっきりと言わないカップルの話です。
総額から10万円値引きしたら契約を検討する、と言うので上司に相談し値下げしました。新しい見積書を提示すると、やっぱりもう5万円値下げしてほしい、と言うのです。理由を聞いても特に具体的な返答はなく、ただ安くしてほしいようでした。
利益分を削って値下げを行うと、どれかグレードを下げるか人数に最低保証を付けるなどしなければ値下げは難しくなります。しかし内容はそのままでの値下げを要求するのです。
全体的に協力的ではないカップルでしたが、後から追加で言い出す点、譲歩の姿勢が見られない点などが決定打となりサービスの提供を断る結果となりました。
予算もはっきりさせずとにかく安くしてくれと要求される方、後から追加で要望がたくさん出てくる方は注意客としてマークされやすいです。希望をはっきりとさせないのに、対応が悪かったとクレームに繋がる可能性が高くなります。
・限界まで値引きするときは、捨てる項目を作っておく
●引き際を読み違える
予算にこだわるあまり、サービスを断られたカップルの話です。
上記の例にも関わってきますが、値引きには限界があります。交渉上手で赤字ギリギリで契約された方もいらっしゃいますが、赤字で契約はできません。
このカップルは赤字ギリギリまで値引きしなければ、予算に到達できないパターンでした。予算に合わせるために、演出を諦めてもらったりグレードダウンの提案をしましたが、断られてしまったのです。
商談とはお互いが歩み寄ることで成立するものなので、譲歩の姿勢が見られないとクレーマー予備軍に思われ、注意客としてマークされます。
会場側から条件付きの値下げを提案され始めたら限界に近づいている証拠です。引き際を間違えないように気を付けましょう。
・予算が少なければ豪華な結婚式はできない
●「あの人より安くして!」
ネット上の他人や友人の見積書を引き合いに出して交渉する方も0ではありません。ただこれは100% 失敗する方法です。
見積書はその人のために作られたものであり、同じものはほぼありません。招待人数もグレードも時期も違うので、同じ値引きはできないのです。
数年前までは値引きもやっていたが、今はやっていないという会場もあるでしょう。他人を引き合いに値引きの要求はしないでください。
・自分の結婚式なのだから自分の手札で勝負する
●完璧な結婚式
格安結婚式のサービスの利用を検討している場合は、要望が多くならないように気を付けてください。
格安結婚式のサービスは必要なものだけ詰め込んで、中間コストをカットすることで安さを打ち出しています。
つまりオプションを増やしていくと見積額に大きな差はなくなるのです。そうなると格安結婚式サービスのデメリットが大きくなってきます。
格安結婚式のサービスで演出が多いと、会場と直接やりとりができない分、頻繁に連絡をとることになるパターンが多いです。
こだわりが強いけど予算がないという場合は、格安結婚式のサービスを利用せず会場に直接相談することをおすすめします。
・こだわりたいなら予算は多めに用意しよう
契約を締結した後の値下げ術
契約後の見積額については、正直なところ値下げは不可です。あまりに内容を変更することがあれば、一度キャンセルして契約し直すなんて事態もあり得ます。
契約後に見積額を下げたいのであれば、内容の変更というよりも節約していくという方向へ持っていきましょう。
●節約術
変更が効く部分があれば、ゲストと関わりの薄い部分を節約します。また、ハンドメイドできるものはなるべく持ち込んで費用を浮かせましょう。
以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5543/
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/3723/
予算内で結婚式をあげよう
結婚式の見積もり交渉について紹介しました。ウエディングは定価のないサービスだからこそ、いろんな価格で売り出されています。
ただ、大切なのはいくら安くできたかではなく納得のできる価格で契約ができたかです。どうしても値下げができないときは、その価格でないといけない理由があります。
まずは言ってみないと値下げできるものもできません。心地よい商談になることを祈っています。
ちなみに、契約時には契約金が必要な会場がほとんどです。その場で契約するつもりの時は、5万円~20万円くらいの現金を持っておくと慌てずに済みます。