和装の中でも特に格式が高く、伝統的な花嫁衣裳とされる白無垢。
真っ白な装いには「純潔」や「新しい家庭の色に染まる」といった意味が込められています。
白無垢姿は一見シンプルに見えますが、よく見るとさまざまなアイテムを重ね合わせて着付けているのが分かりますよね。
「どんな小物を合わせてるの?」「それぞれにどんな意味があるの?」と、気になる方も多いでしょう。
そこで今回は、白無垢に合わせる主な小物とコーディネートのポイントを解説していきます。
白無垢の小物についてのよくある質問も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
最後までお読みいただくことで、小物選びで迷っている方も安心してコーディネートできますよ。
和装に必要な小物と役割
白無垢に限らず和装姿を美しく見せるためには、着物そのものだけでなく着付けに必要なさまざまな和装小物が欠かせません。
「こんなにたくさん必要なの?」と思うかもしれませんが、どのアイテムにもそれぞれ大切な役割があります。
ここでは、基本となる和装小物と役割を順に見ていきましょう。
1.肌襦袢
肌襦袢は、和装の一番下に着るインナーのようなアイテムです。
木綿や麻、ガーゼ素材が一般的で、汗を吸収して着物を清潔に保つだけでなく、着心地をよくする役割があります。
ワンピースのような一枚仕立てと上下に分かれた二部式があり、花嫁の支度で使うのは着付けがしやすい二部式が多いです。
2.長襦袢
長襦袢は、肌襦袢の上に重ねて着る和装インナーになります。
着物に汗や皮脂が付くのを防ぐだけでなく、着付けの土台としてシルエットを整えるための重要なアイテムです。
また、衿元や裾、袖口などから肌が見えないようにする役割もあります。
格式が高いのは正絹ですが、通気性がよく快適に過ごせるのは化繊素材です。
3.腰紐
腰紐は、着物や長襦袢を体に沿わせて留めるための紐。
しっかりと結ぶことで着崩れを防ぎ、美しいシルエットを保つことができます。
素材はモスリン(ウール)や正絹、綿を選ぶと結びやすく緩みにくいです。
また、衿を押さえるために胸元で締めたり、帯の仮止めに使ったりもします。
4.コーリンベルト
コーリンベルトは長さのあるゴムの両端にクリップが付いた小物になります。
衿を挟んで固定することで着崩れを防ぐアイテムです。
白無垢の場合は重ね枚数が多く衿元が乱れやすいため、コーリンベルトでしっかり固定することで完成度の高い花嫁姿になります。
5.伊達締め
伊達締めは、着物や長襦袢の上から巻く幅広の帯状の布です。
長襦袢の衿合わせやおはしょりを押さえるために使うことで、着付けを整えることができます。
素材は正絹やポリエステル、ゴム入りの伸縮タイプなどさまざまです。
また、留める部分がマジックテープやクリップになっているものもあります。
6.帯板
帯板は前板と後板があり、帯の内側に入れて使う薄くて硬い板状の小物のことです。
帯を結んだときにシワやたるみができないよう整える役割があります。
基本的に使うのは前板ですが、立体的な変わり結びには後板が必要なことが多いです。
プラスチック製や布張りが一般的ですが、通気性のよいメッシュタイプもあります。
7.帯枕
帯枕は、帯結びの形を支える小物です。
白無垢では帯の背中にふくらみを出し立体的で華やかな後ろ姿を作るために用います。
また、婚礼衣裳に使う帯枕が通常よりやや大きく安定感のある形になっているのは、重ね着による厚みや帯結びを支えるためです。
8.半衿(はんえり)
半衿は長襦袢の衿につける細長い布で、顔周りの印象を左右する大切な小物です。
直接肌に触れる部分を保護する役割に加え、差し色を加えることで衿元の華やかさを演出する効果もあります。
白無垢には白い半衿が基本ですが、最近では金糸や銀糸の刺繍や花柄など個性のあるものを選ぶ方も多いです。
9.帯揚げ
帯揚げは帯の上部に結ぶ布で、帯周りを引き締めて着物姿全体のバランスを整える役割があります。
素材は柔らかく結びやすい正絹が一般的で、華やかさや立体感を加えるアイテムとしても重要です。
また、着物や帯を引き立てる色味を選ぶことで、さりげない個性や華やかさをプラスできます。
10.帯締め
帯締めは、帯の中央部分を結んで固定するひも状の小物です。
帯揚げと同様に帯の形を整える役割があり、しっかり結ぶことで着崩れを防いでくれます。
また、帯締めは目立つ部分にあり色柄だけでなく結び方でも見え方が変わるため、和装の印象を左右するアイテムとしても重要です。
11.足袋
足袋は和装の際に履く白い靴下のようなアイテムで、着物の裾さばきをよくしてくれます。
素材は主に綿や化繊で伸縮性のあるタイプもあり、足にフィットしやすいものを選ぶと歩きやすいです。
かかとの留め具が4枚ついている足袋が一般的ですが、婚礼衣裳のときは5枚ついているものが正式とされています。
白無垢に必要な小物と役割
白無垢は、和装の中でも最も格式の高い婚礼衣裳です。
訪問着や振袖などの通常の和装とは異なり、重ね着の枚数や使用する小物も増えます。
ここでは、白無垢特有の小物や役割について見ていきましょう。
1.掛下
通常の和装では長襦袢の上にそのまま着物を着ますが、白無垢では長襦袢の上に掛下という白い着物を重ねます。
白無垢や色打掛下に着る専用の振袖で、衣裳全体のボリュームや立体感を出すのが役割です。
また、白無垢では白の重なりが格式を高めるポイントなので、掛下も白で統一して純潔や清らかさを表現します。
2.掛下帯
一般的な和装では帯がメインの装飾になりますが、白無垢の場合は掛下帯の上に打掛を羽織るため外からは見えません。
とはいえ、掛下帯は着姿を整えるだけでなく重厚な白無垢を支える大切なアイテムです。
金糸や銀糸を織り込んだ華やかな帯を使うと、見えない部分でも格式を感じられます。
3.伊達衿
伊達衿は重ね衿とも呼び、掛下の衿に重ねてつける小物です。
着物の衿の汚れを防ぐ実用的な役割がある半衿に対し、伊達衿は着物の衿元を華やかに見せる装飾的なアイテムになります。
また、一般の和装では着物や帯を引き立てる色柄が好まれますが、白無垢では統一感や品格を意識することが大切です。
4.抱え帯
抱え帯は白無垢特有の小物で、掛下帯の下部分に沿って締める平らな帯のこと。
本来は裾を持ち上げて歩きやすくするための実用品でしたが、現在では主に装飾として使われています。
白無垢の場合は羽織ると抱え帯が隠れてしまうのですが、見えないおしゃれとして他の小物と色を揃えることが多いです。
アクセサリー類と込められた意味
白無垢姿を完成させるのは、衣裳と着付け小物だけではありません。
花嫁が身に付けるアクセサリー類には、それぞれに深い意味や願いが込められています。
ここでは、白無垢に合わせるアクセサリー類と意味を見ていきましょう。
1.筥迫
筥迫の由来は、江戸時代の女性が懐に入れていた小物入れです。
もともとは化粧道具や鏡などを入れる実用品でしたが、現在では花嫁の胸元を飾るアクセサリーとして使われています。
「女性のたしなみを忘れないように」「美しく気品ある花嫁でありますように」という願いが込められた伝統的な装飾小物です。
2.懐剣
懐剣は小さな刀を模した飾りで、花嫁の帯の左側に差して身につけます。
本来は武家の女性が嫁ぐ際に護身用として持っていた短剣で、自分の身は自分で守るようにという意味が込められていました。
また、剣には神が宿ると考えられていたため、魔除けの意味もあったとされています。
3.末広
末広は花嫁が持つ扇子のことで、シンプルながらも上品な存在感があり、白無垢姿の完成度を高めてくれるアイテムです。
扇の形が末広がりに見えることから、これからの人生が末広がりに幸せであるようにという意味が込められています。
末広は閉じたまま胸元に添えるか手に持つのが基本で、広げて使うのはマナー違反なので注意しましょう。
4.綿帽子
綿帽子は、白無垢の花嫁が頭にかぶる丸みのある帽子状のアイテムです。
挙式が終わるまで新郎以外に見られないよう花嫁の顔を隠す意味があり、奥ゆかしさや慎ましさを表しています。
綿帽子の中のヘアスタイルは文金高島田が基本ですが、最近では洋髪を合わせるのも人気です。
綿帽子について詳しく紹介した記事もあるので、参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/13147/
5.角隠し
角隠しは、文金高島田を覆う白い布のこと。
白無垢のみに合わせる綿帽子と違い、角隠しは色打掛や引き振袖などにも合わせることが可能です。
角を隠すという言葉通り、「しとやかで夫に従順であるように」という意味が込められています。
綿帽子より格式が控えめですが、凛とした印象を与えたい方におすすめです。
6.簪
花嫁の髪を飾る簪は、素材やモチーフによって意味が異なります。
白無垢では上品で華やかな印象を演出するため、金銀やべっこう、パールや白い花を用いた簪が一般的です。
また、伝統的な鶴や松竹梅などの縁起がよいデザインには、「長寿」や「繁栄」などの願いが込められています。
7.草履(ぞうり)
白無垢姿の足元に合わせる草履は、白を基調にした格式の高いデザインを合わせましょう。
清楚で上品な印象になり、花嫁姿がより引き立ちます。
また、花嫁用の草履は高さがあるものを選ぶと、姿勢も美しく見えるのでおすすめです。
かかとが8cm前後の草履が、華やかさも演出してくれるでしょう。
白無垢の小物についてよくある質問
最後に、白無垢の小物についてのよくある質問を紹介しますので、コーディネートの参考にしてください。
Q.小物も白色で統一しなきゃいけないの?
A.白で統一するのが基本ですが、差し色を入れても問題ありません。
白無垢は純白でまとめるのが伝統的ですが、最近は掛下や帯締め、懐剣の房などに色を入れて華やかさを出す花嫁も増えています。
加える色も、花嫁衣裳に多い赤や金だけでなく、淡いピンクや水色、グリーンなどさまざま。
花嫁らしい上品さを演出するポイントは、差し色を同系色にして統一感を出すことです。
Q.小物はレンタルせず持ち込んだり手作りすることはできる?
A.小物は、持ち込みや手作りしてもかまいません。
白無垢の小物は式場や衣裳店でレンタルするのが一般的ですが、家族や自分が持っている小物を合わせる方もいます。
持ち込みや手作りをして、その分費用を抑えることができたら嬉しいですよね。
ただし、自前で用意する場合は当日の着付けに支障がないよう、式場や衣裳店に事前に確認することが大切です。
まとめ: 白無垢に必要な小物の名前も知っておこう
白無垢は和装の中で最も格式の高い花嫁衣裳で、着付けるときは多くの小物を使います。
また、筥迫や懐剣などのさまざまな装飾品も、白無垢姿を完成させるために欠かせないアイテムです。
今回は、白無垢に必要な小物について、意味や役割を解説してきました。
最近では、伝統の白無垢に差し色を入れたり洋髪にしたりと、さりげなく個性を取り入れる花嫁も多いです。
白無垢に使う小物にも注目して、格式がありつつおしゃれな花嫁姿を披露しましょう。
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