お寺で結婚式をあげられることをご存知でしたでしょうか。先祖に向けて結婚の報告をし、来世まで続く縁を誓うロマンチックな挙式スタイルです。
「仏前式とは? 神前式とは何が違うの?」
「いくらでできるんだろう」
「和風の結婚式をあげたい」
本記事では元ウエディングプランナーが仏前式とその他の和婚のスタイルを比較・紹介しています。お二人が結婚式で何を重視するかでおすすめのスタイルも変わってきますので、参考にしてみてください。
結婚式の方向性が決まったら、さっそく会場見学に行くことがおすすめです。特に仏前式の場合は会場が少ないので、早めに決定しましょう。
和装におすすめのセレモニーも紹介しているので、ケーキ入刀に代わる演出としても参考になれば幸いです。
仏前式とは
先祖に結婚の報告をすることと、巡り合わせに感謝することが中心の挙式スタイルです。
日本の伝統的な挙式スタイルですが、選ぶ方は多くないためレアな挙式と言えるでしょう。仏に向けて結婚を報告しますので、仏前式と呼ばれます。
親族中心で行われ、家と家の繋がりをより強く感じることができるでしょう。
お寺で行われることが多いですが、自宅の仏壇やホテルなどでも行うことができます。僧侶が式と執り行い、数珠を授与されることが特徴です。
仏前式で結婚式をあげるメリット
仏前式のメリットとして以下が挙げられます。
- 繋がりを強く感じることができる
- 来世まで続く縁を誓うことができる
- 他の人と被りにくい挙式スタイルである
他の挙式スタイルとは違い、来世までの繋がりを誓えることが特徴です。
仏教では結婚は前世からの縁であるという考え方をします。今世でも巡り会えたのは、前世で来世の結婚の約束をしているからというわけです。
仏前式で結婚式をあげるメデメリット
一方でデメリットとしては以下が挙げられるでしょう。
- 対応している会場が少ない
- 披露宴は別手配がほとんど
- 情報が少ない
- 参列者は正座することになる
広く浸透したスタイルではありませんので、対応している会場が多くありません。仏前式でどうしてもやりたい場合は、仏前式に対応している会場から絞り込みましょう。
URL:https://www.kekkonshikijoerabikata.com/
またほとんどの場合、披露宴の会場は別で手配する必要があります。そのため手間が増え双方の会場とのすり合わせが負担になる可能性が高いです。
卒花嫁の情報が少なく、参列者は長時間の正座を強いられる点なども気がかりなポイントとなるでしょう。
仏前式の一般的な流れ
仏前式の流れについて、宗派によって違いはありますがだいたい以下の通りです。様々な作法がついて回りますが、事前に教えてもらえます。
▼式次第
- 入堂
- 敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
- 念珠授与
- 指輪の交換
- 司婚の儀
- 焼香
- 誓杯
- 親族固めの杯
- 法話
- 退堂
▼入堂
参列者→新郎新婦様→僧侶の順で入堂します。
▼敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
敬白文とは、仏と先祖にお二人が結婚することになったことを報告する文のことです。
▼念珠授与
僧侶から新郎へ白い房の数珠を、新婦へは赤い房の数珠を授けます。
両手で受け取り、式が終わるまで親指以外の指にかけて持っていてください。
▼指輪の交換
教会式と同様に指輪の交換を行います。
指輪を交換することに宗教的な意味は込められていないので、仏前式でも指輪の交換は可能です。
▼司婚の儀
誓いの言葉に当たる部分になります。
僧侶からの問いかけに「誓います」と答えた後にやることは、誓詞の読み上げです。
この儀式を経て結婚が成立します。
▼焼香
新郎→新婦の順に右手で焼香を行ってください。
▼誓杯
神前式の三献の儀(三三九度)に当たるものです。
神前式とは盃を飲み交わす順番が違いますので、注意してください。
▼親族固めの杯
参列者も配られた盃を3回に分けて飲み干し、繋がりを強めます。
▼法話
僧侶から仏教の教えを説く法話とお祝いの言葉が贈られるでしょう。
仏教の教えを嚙み砕いて、これからの人生の支えになる言葉としてプレゼントされます。
▼退堂
僧侶→新郎新婦様→媒酌人→両親→親族の順で退場です。
媒酌人とは介添え人のような役割で、新郎新婦様の世話をしてくれる人を指します。
宗教による仏前式と神前式の違いとは
日本の伝統的な挙式スタイルといえば、神社で結婚式をあげる神前式もあります。和婚で考えているかたは、神前式も検討しているかもしれません。
神前式と仏前式の違いについて解説していきます。どちらも歴史ある挙式スタイルですが、少しづつ違いがあるのです。
神前式とは
神へ結婚の報告と、今後の加護を願う挙式スタイルです。厳かで儀式らしさのあるウエディングになるでしょう。
ホテル内に神殿を誂えそこで挙式ができたり、境内に宴会場を備えた神社があったりします。仏前式よりはウエディング設備が整っており、比較的メジャーなスタイルです。
日本らしくて厳かなウエディングにしたい、設備が整っている会場がいいという新郎新婦様におすすめします。
詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5457/
仏前式と神前式の違い
神前式と仏前式の違いについて以下の点から比較していきます。
- 特徴
- 挙式をあげる意味
- 費用
▼特徴
仏前式と神前式の違いとして、まずその挙式場所が大きく異なります。しかし、どちらも日本の文化と信仰を深く感じられる儀式です。
仏前式 | 神前式 | |
場所 | 仏前式はお寺の本堂や仏間で行われ、仏教の教えに基づいて進行する | 神前式は神社の拝殿や本殿で行われ、神道の教えに基づいて進行する |
挙式の様子 | 静粛で厳かな雰囲気の中、念珠や焼香を用いて進行する | 神に結婚の報告と今後の祈願を行い、家族同士の縁を深めるように進行する |
▼挙式をあげる意味
仏前式と神前式の挙式をあげる意味もそれぞれ異なります。
仏前式 | 神前式 | |
挙式を行う意味 | ご先祖様に結婚の報告をすることで2人の絆を強固にし、来世の縁も願う | 神様に結婚を報告し、その加護を受けることで新しい生活の安泰を祈る |
挙式の特徴 | 巡り合わせに感謝するという側面も持ち合わせている | 親族固めの盃など、家と家の繋がりを強める意味もある |
▼費用
挙式料については仏前式の方が安いですが、トータルでみると大きく差があるわけではありません。
仏前式 | 神前式 | |
平均相場 | 挙式料はだいたい10万円~25万円ほど | 挙式料はだいたい10万円~20万円ほど |
注意点 | ・金額が安いと衣裳などがプランに入っていない場合もある ・披露宴も行う場合、お寺では対応していないことがほとんどなので、別で手配する必要がある ・親族のみの食事会という形であれば総費用は抑えられる |
・安い時は初穂料が含まれているかチェック ・巫女の舞や花嫁行列が別料金の時も |
和婚なら人前式もおすすめ
仏前式、神前式以外の和婚ができる挙式スタイルで、一番費用を抑えられるのが人前式です。コスト重視で、アットホームなウエディングにしたいのであれば和装人前式を検討してみてください。
人前式とは
人前式とは宗教に囚われない、自由なスタイルの挙式を指します。神や仏に誓うのではなく、多くの場合参加しているゲストに向けて結婚の誓いを宣言するスタイルです。
形式が自由でありオリジナルの挙式を挙げられること、アットホームな雰囲気になることから人気があります。聖歌隊や僧侶を呼ぶ必要もないので、費用も抑えやすいです。
ゲスト参加型の人前式も可能なので、大切な人との繋がりを大切にしたい新郎新婦様にもおすすめします。ゲスト参加型の結婚証明書を自作した新郎新婦様もいらっしゃいました。
オリジナルの挙式を作ることが可能なので、費用を抑えた式も細部までこだわることも可能です。
▼茶婚式も人前式の1つ
茶道の精神を取り入れた茶婚式にも注目が集まっています。少人数での挙式の場合におすすめです。
茶室で行われる挙式で、お茶を点ててもらい参列者で楽しむのが特徴になります。対応している会場は少ないので、茶婚式を参考にオリジナルの挙式を作ってみてもよいでしょう。
和と一期一会を感じられる結婚式がしたい場合に参考にしてみてください。
人前式の場合の費用感
和装人前式の場合の挙式料はだいたい10万円~15万円ほどです。人前式は型が決まっていない挙式スタイルなので、内容によって金額は上下するでしょう。
誓いの言葉と結婚証明書を用意するくらいであれば、上記の予算感で問題ありません。洋装より和装の方が費用を抑えられるので、コスト重視の方にもおすすめです。
費用順に並べると和装人前式 > 神前式 > 仏前式となります。和婚がしたい場合は、和装人前式と神前式がおすすめです。仏前式は特別思い入れがある方が選ぶ印象があります。
仏前式風・神前式風の演出アイデア
人前式で、仏前式・神前式の雰囲気を演出するアイデアについて、以下紹介していきます。それぞれのスタイルで良かったと思う要素を取り出して、新しく組み立てるのがおすすめです。
和装にするだけでだいぶ雰囲気は出ますが、演出にもこだわればぐっとそれらしい雰囲気になります。実現可能かどうかはプランナーとの相談が必須ですが、こだわるほど達成感のある結婚式になるでしょう。
▼仏前式風の演出
仏前式の特徴と言えば、やはり僧侶がいて念珠授与がなされる点と来世までの縁を誓う点ではないでしょうか。
友人だけの結婚式で、シスターの格好をした男性ゲストに進行を務めてもらった新郎新婦様もいらっしゃいます。仏前式の雰囲気を出すためにゲストに僧侶の格好をしてもらうのもありかもしれません。
また、誓いの言葉に今世での出会いに感謝し来世でも結ばれることを誓う文言を組み込むのもよいでしょう。
▼神前式風
神前式といえば、花嫁行列や三々九度の儀式を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
入場の際に複数の友人にも連れだってもらったり、お神酒の代わりに抹茶を飲み交わすことだって可能です。お互いに茶道の経験があるのなら、点てたお茶をそれぞれで飲むというのもよいでしょう。
また、定番のセレモニーとして水合わせの儀というものがあります。これは両家で汲んできた水を1つの盃に注ぎ、お二人が飲み干すというセレモニーです。
2つの家が1つになることを象徴したものになります。厳かめの雰囲気がほしい場合におすすめです。
仏前式の結婚式でよくある質問
仏前式の結婚式を検討する際に多い質問についてまとめました。参考にしてみてください。
Q.両家で宗派が違っても挙式をあげられる?
A.両家で宗派が違っても挙式をあげられます。
宗派が違っていても式を執り行ってくれるお寺もありますので、気に入った会場があればチェックしてみましょう。
ただ、両家で宗派が違う場合に重要なのは両家が納得していることです。浄土真宗と浄土宗とでも挙式の内容に細かな違いがあります。
かならず両者納得の上、仏前式を選んでください。
Q.数珠の持参は必須?
A.ゲストの数珠の持参は必須です。
数珠は仏教における重要な道具であり、焼香や読経の際に使用します。これは、数珠が心の静けさや祈りを象徴するものとして厳かな儀式をより一層引き立てるため。
ゲストの方々には事前に数珠の持参をお願いすることで、全員が心を一つにして厳かな式を迎えることができます。
Q.ゲストの服装マナーは?
A.一般的な結婚式の服装マナーと同じです。
男性はブラックスーツやダークスーツ、女性はフォーマルなドレスや和装が適しています。ただし、仏前式特有の厳粛な雰囲気を考慮し、過度に華美な装飾や露出は避けた方が良いでしょう。
また、境内が砂利の場合もあり、ハイヒールは避けた方が無難です。仏前式だからと特別服装を気に掛けるポイントは特にないため、基本的なマナーを守りましょう。
Q.指輪交換はできる?
A.指輪交換を組み込むことも可能です。
現代の結婚式において、指輪交換は愛と絆の象徴として広く受け入れられており、仏前式でもその要素を取り入れられる場合が多いです。また、指輪交換自体に宗教的な意味合いはありません。
お寺の住職や僧侶に相談することで、儀式の流れに指輪交換を組み込むことができます。
まとめ:理想の和婚を叶えよう
お寺での結婚式、および和婚について紹介しました。日本らしさを感じられる結婚式も人気が高まっていますので、参考になれば幸いです。
仏前式には制約もありますが、その分他では味わえない繋がりを感じたり特別な時間を過ごせすことができるでしょう。
和婚という枠で考えれば選択肢は多いです。お二人にぴったりな挙式があげられることを祈っています。