お寺で結婚式をあげられることをご存知でしたでしょうか。先祖に向けて結婚の報告をし、来世まで続く縁を誓うロマンチックな挙式スタイルです。
本記事ではそんな仏前式の基本とその他の和婚のスタイルを比較・紹介しています。お二人が結婚式で何を重視するかでおすすめのスタイルも変わってきますので、参考にしてみてください。
結婚式の方向性が決まったら、さっそく会場見学に行くことがおすすめです。特に仏前式の場合は会場が少ないので、早めに決定しましょう。和装におすすめのセレモニーも紹介しているので、ケーキ入刀に代わる演出としても参考になれば幸いです。
お寺であげる結婚式
結婚式はお寺でもあげることができます。日本の伝統的な挙式スタイルですが、選ぶ方は多くないためレアな挙式と言えるでしょう。仏に向けて結婚を報告しますので、仏前式と呼ばれます。
●仏前式とは
先祖に結婚の報告をすることと、巡り合わせに感謝することが中心の挙式スタイルです。親族中心で行われ、家と家の繋がりをより強く感じることができるでしょう。
お寺で行われることが多いですが、自宅の仏壇やホテルなどでも行うことができます。僧侶が式と執り行い、数珠を授与されることが特徴です。
宗派が違っていても式を執り行ってくれるお寺もありますので、気に入った会場があればチェックしてみましょう。
●流れ
仏前式の流れについて、宗派によって違いはありますがだいたい以下の通りです。
- 入堂
- 敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
- 念珠授与
- 指輪の交換
- 司婚の儀
- 焼香
- 誓杯
- 親族固めの杯
- 法話
- 退堂
▼入堂
参列者→新郎新婦様→僧侶の順で入堂します。
▼敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
敬白文とは、仏と先祖にお二人が結婚することになったことを報告する文のことです。
▼念珠授与
僧侶から新郎へ白い房の数珠を、新婦へは赤い房の数珠を授けます。両手で受け取り、式が終わるまで親指以外の指にかけて持っていてください。
▼指輪の交換
教会式と同様に指輪の交換を行います。指輪を交換することに宗教的な意味は込められていないので、仏前式でも指輪の交換が可能です。
▼司婚の儀
誓いの言葉に当たる部分になります。僧侶からの問いかけに「誓います」と答えた後にやることは、誓詞の読み上げです。この儀式を経て結婚が成立します。
▼焼香
新郎→新婦の順に右手で焼香を行ってください。
▼誓杯
神前式の三献の儀(三三九度)に当たるものです。神前式とは盃を飲み交わす順番が違いますので、注意してください。
▼親族固めの杯
参列者も配られた盃を3回に分けて飲み干し、繋がりを強めます。
▼法話
僧侶から仏教の教えを説く法話とお祝いの言葉が贈られるでしょう。仏教の教えを嚙み砕いて、これからの人生の支えになる言葉としてプレゼントされます。
▼退堂
僧侶→新郎新婦様→媒酌人→両親→親族の順で退場です。媒酌人とは介添え人のような役割で、新郎新婦様の世話をしてくれる人を指します。
●メリット
お寺で結婚式をあげることのメリットとして以下が挙げられるでしょう。
- 繋がりを強く感じることができる
- 来世まで続く縁を誓うことができる
- 他の人と被りにくい挙式スタイルである
他の挙式スタイルとは違い、来世までの繋がりを誓えることが特徴です。
仏教では結婚は前世からの縁であるという考え方をします。今世でも巡り会えたのは、前世で来世の結婚の約束をしているからというわけです。
●デメリット
一方でデメリットとしては以下が挙げられるでしょう。
- 対応している会場が少ない
- 披露宴は別手配がほとんど
- 情報が少ない
- 参列者は正座することになる
広く浸透したスタイルではありませんので、対応している会場が多くありません。仏前式でどうしてもやりたい場合は、仏前式に対応している会場から絞り込みましょう。
またほとんどの場合、披露宴の会場は別で手配する必要があります。そのため手間が増え双方の会場とのすり合わせが負担になる可能性が高いです。
卒花嫁の情報が少なく、参列者は長時間の正座を強いられる点なども気がかりなポイントでしょう。
神社であげる結婚式
日本の伝統的な挙式スタイルとして、神社婚も同時に検討している方が多いです。お寺よりは神社の方が、ウエディングを行っているイメージがあるかもしれません。神に向けて結婚の報告を行うので、神前式と呼ばれます。
●神前式とは
神へ結婚の報告と、今後の加護を願う挙式スタイルです。厳かで儀式らしさのあるウエディングになるでしょう。
ホテル内に神殿を誂えそこで挙式ができたり、境内に宴会場を備えた神社があったりします。仏前式よりはウエディング設備が整っており、比較的メジャーなスタイルです。
日本らしくて厳かなウエディングにしたい、設備が整っている会場がいいという新郎新婦様におすすめします。
詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5457/
和婚のときの費用感
和婚をしようと考えた時、候補に挙がるのが仏前式、神前式、和装人前式でしょう。それぞれの費用感を紹介します。
●仏前式の場合
仏前式の場合の挙式料はだいたい10万円~25万円ほどです。金額が安いと衣裳などがプランに入っていない場合もあるのでその点は注意してください。
披露宴も行う場合、お寺では対応していないことがほとんどなので、別で手配する必要があります。親族のみの食事会という形であれば総費用は抑えられるでしょう。
●神前式の場合
神前式の場合の挙式料はだいたい10万円~20万円ほどです。安い時は初穂料が含まれているかチェックしましょう。巫女の舞や花嫁行列が別料金の時もあります。
ホテルでも神社でも挙式料に大きな違いはありません。ただ、総額で見たときにホテルの方が割り高になる傾向があります。
●和装人前式の場合
和装人前式の場合の挙式料はだいたい10万円~15万円ほどです。人前式は型が決まっていない挙式スタイルなので、内容によって金額は上下するでしょう。
誓いの言葉と結婚証明書を用意するくらいであれば、上記の予算感で問題ありません。洋装より和装の方が費用を抑えられるので、コスト重視の方にもおすすめです。
費用順に並べると和装人前式>神前式>仏前式となります。和婚がしたい場合は、和装人前式と神前式がおすすめです。仏前式は特別思い入れがある方が選ぶ印象があります。
コスト重視なら和装人前式
和婚の中で一番費用を抑えられるのは和装人前式です。コスト重視で、アットホームなウエディングにしたいのであれば和装人前式を検討してみてください。
●人前式とは
人前式とは宗教に囚われない、自由なスタイルの挙式を指します。神や仏に誓うのではなく、多くの場合参加しているゲストに向けて結婚の誓いを宣言するスタイルです。
形式が自由でありオリジナルの挙式を挙げられること、アットホームな雰囲気になることから人気があります。聖歌隊や僧侶を呼ぶ必要もないので、費用も抑えやすいです。
ゲスト参加型の人前式も可能なので、大切な人との繋がりを大切にしたい新郎新婦様にもおすすめします。ゲスト参加型の結婚証明書を自作した新郎新婦様もいらっしゃいました。
オリジナルの挙式を作ることが可能なので、費用を抑えた式も細部までこだわることも可能です。
●新しいスタイル「茶婚式」
茶道の精神を取り入れた茶婚式にも注目が集まっています。少人数での挙式の場合におすすめです。
茶室で行われる挙式で、お茶を点ててもらい参列者で楽しむのが特徴になります。対応している会場は少ないので、茶婚式を参考にオリジナルの挙式を作ってみてもよいでしょう。
和と一期一会を感じられる結婚式がしたい場合に参考にしてみてください。
仏前式風・神前式風の演出アイデア
人前式で、仏前式・神前式の雰囲気を演出するアイデアについて、以下紹介していきます。それぞれのスタイルで良かったと思う要素を取り出して、新しく組み立てるのがおすすめです。
和装にするだけでだいぶ雰囲気は出ますが、演出にもこだわればぐっとそれらしい雰囲気になります。
実現可能かどうかはプランナーとの相談が必須ですが、こだわるほど達成感のある結婚式になるでしょう。
●仏前式風
仏前式の特徴と言えば、やはり僧侶がいて念珠授与がなされる点と来世までの縁を誓う点ではないでしょうか。
友人だけの結婚式で、シスターの格好をした男性ゲストに進行を務めてもらった新郎新婦様もいらっしゃいます。仏前式の雰囲気を出すためにゲストに僧侶の格好をしてもらうのもありかもしれません。
また、誓いの言葉に今世での出会いに感謝し来世でも結ばれることを誓う文言を組み込むのもよいでしょう。
●神前式風
神前式といえば、花嫁行列や三々九度の儀式を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
入場の際に複数の友人にも連れだってもらったり、お神酒の代わりに抹茶を飲み交わすことだって可能です。お互いに茶道の経験があるのなら、点てたお茶をそれぞれで飲むというのもよいでしょう。
また、定番のセレモニーとして水合わせの儀というものがあります。これは両家で汲んできた水を1つの盃に注ぎ、お二人が飲み干すというセレモニーです。
2つの家が1つになることを象徴したものになります。厳かめの雰囲気がほしい場合におすすめです。
●和装でおすすめのオリジナルセレモニー
その他の和装の際におすすめのセレモニーについて、鏡開きやだるまの目入れがあります。挙式に取り入れなくても、ケーキ入刀に代わる演出として組み入れるのもおすすめです。
詳しくは以下の記事もご参照ください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/3804/
理想の和婚を叶えよう
お寺での結婚式、および和婚について紹介しました。日本らしさを感じられる結婚式も人気が高まっていますので、参考になれば幸いです。
仏前式には制約もありますが、その分他では味わえない繋がりを感じたり特別な時間を過ごせすことができるでしょう。
和婚という枠で考えれば選択肢は多いです。お二人にぴったりな挙式があげられることを祈っています。