自由で費用が比較的かからないと言われるのが人前式です。しかし、そんな理由で挙式スタイルを決めてしまっていいのか不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事は元ウエディングプランナーが人前式について丸ごと解説しています。気になる疑問や他の挙式スタイルとの比較を通じて、理想の結婚式について考えてみましょう。
最高の当日を迎えるためには、やりたいことの言語化が必要です。どんな結婚式をあげたいのか明確にして、それが叶う挙式スタイルを選んでみてください。
人前式とその他の挙式スタイルについて
結婚式の挙式スタイルは主に4つあり、それぞれに特徴があります。それぞれの違いや特徴について知り、どのスタイルがお二人にぴったりなのか考えてみてください。
●人前式の特徴
人前式(じんぜんしき)は読んで字のごとく、人=ゲストの前で行う挙式スタイルです。ウエディング業界では神前式(しんぜんしき)と区別しやすくするために、「ひとまえ式」と呼ぶこともあります。
宗教色がないことが特徴であり、進行内容などは自由に決めることが可能です。茶婚式や祝言も人前式に含むことができるでしょう。
かしこまった雰囲気よりは、アットホームな雰囲気になりやすく、ゲストと一緒に作る結婚式という側面が強いです。挙式会場の制限が少なく、許可があればどこでも開催できます。
●神前式の特徴
神前式(しんぜんしき)は神殿に祀られた神様に結婚の報告を行う挙式スタイルです。ウエディング業界では人前式(じんぜんしき)と区別しやすくするために、「かみまえ式」と呼ぶこともあります。
白無垢を着て、神社であげる結婚式のイメージが強いでしょう。厳かに日本の伝統を感じたい新郎新婦様におすすめです。
詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5457/
●教会式の特徴
教会式とは、キリスト教式のセレモニーに則った挙式スタイルです。十字架の元で花嫁と花婿が誓いのキスをするというイメージそのままの結婚式になります。
結婚式っぽさを一番感じやすいスタイルでしょう。チャペルの選択肢も多く、好みの会場が見つかりやすいです。結婚式に憧れのある方が選んでいるという印象があります。
●仏前式の特徴
仏前式は仏(先祖)に結婚の報告をする挙式スタイルです。選ばれる方が少ない上、親族のみ参列の場合も多いので認知度が高くありません。
仏教の教えに則り、出会った縁と来世までの結びつきを感謝する式です。開催できる場所に制限はありますが、家族婚など親族中心の結婚式におすすめします。
詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6269/
理想の結婚式を言語化しよう
まだ挙式スタイルが決まっていない方や、打ち合わせが本格的に始まっていない方におすすめなのが、プランニングシートを作成することです。
理想の結婚式を具体的にすることで、結婚式のコンセプトが決まり挙式スタイルも難なく選ぶことができます。今後、演出や費用について考える時の指標にもなるので、以下を参考に考えてみてください。
●なぜ式をあげたいのか?
結婚式をあげたいと思ったのはどんな時でしたでしょうか。花嫁の笑顔が見たい、新たな始まりのセレモニーがしたいなど、理由はたくさんあるでしょう。
結婚式の根幹に関わるので、ぜひ言語化して控えておいてください。以下のように、式をあげたい理由から結婚式のスタイルを決めることもできます。
なぜ式をあげたいのか | おすすめの結婚式のスタイル |
二人で生きていくことの決意表明のため | 人前式、教会式 |
両家の結びつきを示すため | 神前式、仏前式、家族婚 |
通過儀礼のため | 挙式と食事会のみ、会費制の宴内人前式 |
ただの記念のため | 挙式と食事会のみ、フォトウエディング |
●誰のために式をあげるのか?
誰のために、という視点があるとパーティーの雰囲気を決めやすいです。以下も参考に考えてみてください。
誰のために式をあげるのか | おすすめのコンセプト |
パートナーのため | 憧れを目いっぱい詰め込んだウエディング |
お世話になったゲストのため | 披露宴に力を入れた結婚式、カジュアルなパーティー |
両親のため | フォーマルな雰囲気、家族婚 |
●お二人のプランニングシートを完成させよう
プランニングシートといっても定型のシートがあるわけではありません。ただ、式場によってはヒアリングシートのような形でプランナーから渡される場合もあります。
マインドマップのように自由に単語を繋げてもいいですし、アンケート用紙を埋めるように言語化していくのもよいでしょう。マンダラート形式でもやりやすいのではないでしょうか。
プランニングシートに記載するおすすめの項目は以下です。
- 目的
- コンセプト
- テーマカラー
- 雰囲気
- キーワード
- 好きなもの
ふんわりとどんな結婚式にしたいか話し合うだけでなく、言語化して書き記しておくのがポイントになります。特に人前式では決めることが多いので、軸が定まっていると決断がしやすいです。
人前式のいいところと注意点
人前式ではゲストを証人として結婚の誓いを立てるので、宗教的な決まりがなく自由にプログラムを組むことができます。一方でデメリットもあるので、他のスタイルとも比較した上で、人前式にするかどうか決めてみてください。
●人前式のいいところ
人前式のいいところとして以下の4つが挙げられます。
- アットホームな雰囲気で過ごせる
- 費用が比較的安い
- 自由に演出を組める
- ゲスト参加しやすい
堅苦しい雰囲気が苦手な方にもおすすめです。参加型の演出も組み込みやすいので、一体感も生まれやすいでしょう。
また、教会式などと比べて聖歌隊などを呼ぶ必要もないので、費用を抑えることができます。
●注意点
一方で注意点として、以下の3つが挙げられます。
- 決めることが多い
- 手間がかかる
- ゲストに馴染みがない
自由に演出が組めるということはそれだけ決めることが多く、手間がかかるということです。こだわればこだわるだけ、準備が大変になっていくでしょう。
また、ゲストにとって馴染みがあるスタイルとは言い切れませんので、挙式の際に戸惑うゲストがいるかもしれません。とはいえ、挙式として認識されない可能性は低いでしょう。
●他の挙式スタイルの場合
人前式のメリット/デメリットを紹介しましたが、他のスタイルを選んだ場合はどうなるのかを紹介します。
他のスタイルの場合、挙式について決めることは少ないですが、結局のところ披露宴の演出について悩むことになるでしょう。どんな結婚式でも決めることは多いです。人前式もオーソドックスな流れにしてしまえば、他と変わりありません。
また、型が決まっていると手間は少ないですが、やらなければいけない演出という枷が付くので代わりに費用がかさみます。
ゲストに馴染みないスタイルであっても、挙式前に司会から説明のアナウンスを入れるだけで解決です。心配であれば招待状や席次表などにも説明文があると情報を周知できるのではないでしょうか。
いくらくらいで開催できるか
人前式の挙式料は10万円~15万円程が相場です。他の挙式スタイルだと20万円前後が相場になってくるので、比較的安いと言えます。
ただ、オーソドックスな内容であればの話なので、やりたいことを詰め込んでいくと見積もりも跳ね上がっていく可能性が高いです。
披露宴の費用については参加人数や会場によって変わってきます。
●一番安く済む方法とは?
一番費用を抑えられるのはレストランでの宴内人前式です。250万円程で充分な内容での結婚式が叶うでしょう。
宴内人前式にすることで、別途挙式の会場を借りる必要がなくなります。また、レストランウエディングは費用が抑えやすいので、総額も高くなりにくいです。
会費制のウエディングにすれば、自己負担額を100万円未満に抑えることも不可能ではありません。
レストランウエディングについては以下の記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/5822/
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/2065/
●支払いについて
結婚式の費用は挙式2週間前などに一括で現金振り込みとなることが多いです。費用が理由で人前式を検討している方は、資金繰りに注意しましょう。
レストランウエディングで会費制の場合だと、当日払いに対応してくれるパターンもあります。
ご祝儀払いを当てにしたい場合は、後日払いに対応している会場に絞って探すのがおすすめです。
面白い演出や人気の演出
自由なスタイルで人気の人前式ですが、基本の流れがありその中でアレンジを効かせる新郎新婦様が多くなっています。
●基本の流れ
人前式の基本的な流れは以下です。
- 入場
- 開式宣言
- 誓いの言葉
- 指輪交換
- 誓いのキス
- 結婚証明書へ署名
- 立会人の承認
- 結婚成立宣言
- 閉式宣言
- 退場
この流れを元に、各プログラムを入れ替えたりアレンジしてオリジナル挙式を創り上げていきます。
●誓いの言葉の演出について
教会式で言うところの牧師からの問いかけです。教会式のように牧師役がいてもいいですし、お二人で誓いの言葉を読み上げる宣誓式も人気があります。
「病める時も 健やかなる時も」と誓いを立ててもいいですし、「どれだけ体重が増えても 朝帰りしようとも」とお二人らしい言葉を選ぶ方も多いです。
「誓いますか?」と呼びかけてもらう場合は、司会者か立会人代表から呼びかけてもらいましょう。友人に頼む場合は以下の記事も参考になります。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/4354/
パパママ婚の場合は、お子様も活躍する演出を組み込みたいのではないでしょうか。親子でできる演出については以下の記事で解説しています。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/6295/
●結婚証明書の演出について
結婚証明書は正式な書類のことを指すのではなく、お二人の婚姻の記念にサインする非公式の書類のことです。
オリジナリティを一番出しやすい箇所であると言えるでしょう。デザインもサイン方法も自由なので想像力をフルに活用してお二人だけの結婚証明書を作成してみてください。
特に人気なのはゲスト参加型の結婚証明書です。ウエディングツリーやハートドロップスは既製品も販売されているので、手軽に手に入ります。
以下の関連記事も参考にしてみてください。
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/4600/
URL: https://www.kekkonshikijoerabikata.com/4807/
入籍がまだであれば、婚姻届にサインするプログラムに変更することもおすすめです。当日サプライズで友人を指名して、証人欄に記名してもらう演出も喜ばれます。
自由度の高い結婚式で理想に近づこう
人前式は儀式に捕らわれない自由で新しい挙式スタイルです。わいわいと盛り上がることも厳粛に式を進めることもできます。
理想とする結婚式に一番近づける挙式スタイルではないでしょうか。どんな結婚式がしたいのか、具体的に考えてから挙式スタイルを決定しましょう。
一生に一度の日を、理想以上に幸せいっぱいな空間で過ごせることを祈っています。